祭祀承継、葬儀・墓・埋葬供養について知っておきましょう!


 遺骨や仏壇の引き渡しなどの祭祀承継に関するトラブルが増えてきています。民法では、祭祀は財産相続とは別に扱っているので、遺産と同じように相続人間で分散されることなく、遺言の中でも財産の帰属とは別に決めておかなければなりません。

 祭祀は、家系、地域の慣習、宗教、信仰が関わり、被相続人の意思、被相続人と当事者との生活関係、当事者間の対立関係、遺族の被相続人に対する慕情・愛情等も複雑に絡んできます。祭祀承継者が生前又は遺言により指定されていない場合に、承継をめぐって紛争が起きることがあります。仏壇や過去帳、位牌や遺骨の引き渡しなどは、感情的対立が激しくなる場合があります。

 祭祀財産は、①被相続人の指定(または、祭祀主宰者の指定)、②慣習、③家庭裁判所の審判により、その承継が定まります。

 葬儀をどのように行うかについては、祭祀継承者の判断にゆだねられています。被相続人が祭祀の希望を実現するために、生前から希望を伝えたり、遺言の付言に記載するなどして、負担付遺贈、死因贈与、遺言執行者の選任、祭祀主宰者の指定、死後事務委任契約の締結などで履行を確保しておくことも選択肢として重要です。

 葬儀方法も様々で、①葬儀や告別式を行わない、②特定の宗教による葬儀をしてほしい、③先祖の墓に入りたくない、④配偶者の先祖代々の墓でなく、自分の実家の墓に埋葬する、⑤永代供養をしてほしいなどがあります。

 ただ、これらは、「遺言」の中で希望する内容を記載することができますが、法的に記載されたとおりに執り行われなければならないという義務が発生するわけではなく、祭祀承継者がどのような方式で祭祀の方法を行うかについては、祭祀承継者の判断に委ねられています。


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