遺留分侵害額の算定式は?


 事例

 Aは「遺産の中から4,000万円をDに譲る」との遺言を残して死亡しました。相続人は、妻Wと子X・Yで、上記4,000万円を含めたAの遺産総額は、4,500万円です。Aは、Gに対する800万円の借入金債務を負っていました。また、Yは、Aが死亡する半年前に、Aから生計維持のために、1,500万円の贈与を受けていました。Wは、Aの生前、Aの事業を手伝っていて、Aの資産形成に少なからぬ寄与をしていました。

 遺留分権利者が侵害された遺留分の額は、次の算定式で計算されます。

 「遺留分権利者の個別的遺留分の額」-(「遺留分権利者が受けた遺贈及び特別受益である贈与の価額」+「相続分に応じた遺留分権利者が取得すべき遺産の額」)+「遺留分権利者が負担する債務の額」

 ・「遺留分権利者の個別的遺留分額」は、「遺留分算定の基礎財産」×「相対的遺留分率」×「遺留分権利者の法定相続分」です。

 ・相続開始前の1年間にされた贈与は、その価額を遺留分算定の基礎財産に算入します。

 ・当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与は、相続の1年前の日よりも前にされたものであっても、その価額を遺留分算定の基礎財産に算入します。

 ・共同相続人の一人に対してされた贈与は、相続開始前の10年間にされたものであれば、それが特別受益にあたるものであるものである場合に限り、その価額を遺留分算定の基礎財産に算入します。

 ・負担付贈与では、贈与財産の価額から負担の価額を控除したものを「贈与の価額」とし、その価額を遺留分算定の基礎財産に算入します。

 ・不相当な対価でされた優勝行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなされます。

 ・遺贈・贈与の対象が条件付き権利及び存続期間が不確定な権利であったとき、その価額をどのように計算するかについては、家庭裁判所が選定した鑑定人の評価に従う。

 ・贈与を受けた不動産や動産を受贈者が相続開始までに毀損したり、売却したりしていた場合のように、「受贈者の行為」による滅失または価格の増減があったときには、「受贈者の行為」による価格変動分は無視します。つまり、相続開始し時点での評価額に換算して評価します。


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