遺産分割 事例1


 Xが、A、Bと共有していた共有物について、相続が発生し、A,BとX1、X2の

四者の共有関係が生じました。

 亡X(被相続人)の持分(X1とX2が相続人)について遺産分割が成立する前

に、共有物の分割の裁判をすることができるでしょうか?

 → 遺産分割優先主義が採用されるため、亡X持分については、共有物分割の

  裁判をすることができません。(改正民法258条の2)

   遺産分割をするまでは、X1とX2が共有物について、具体的にいかなる持

  分を取得するかわからないからです。

   

   X1とX2が遺産に関心がないなどの事情により(所有者不明問題の原因)

  遺産分割をしなかったらどうなるでしょうか?

   ↓

改正民法258条の2 は、相続開始から10年の経過をもって、X1および

 X2に遺産分割の意思なしとの推定をします。

  そして、その経過後は、A又はB又はX1又はX2の請求により、共有物の、

 亡X持分についても、共有物分割の裁判をすることができます。

  これにより、地方裁判所が、A,B持分の他に、亡Xから承継したX1X2の持

 分を含めて、共有物の分割をすることができます。

  なお、X1X2持分を含めて共有物の分割をするためには、その前提とし

 てX1X2持分の確定を要します。

  

 そして、相続開始から10年が経過して、無関心の推定が働いたのちは、

 X1X2それぞれの法定相続分(遺言による相続分があるときは、その相続分)

 を共有物のX1X2持分として取り扱うこととなります。つまり、特別受益や

 寄与分による増減を考慮しないということになります。


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